家づくりの流れ、全体像を一枚で|お施主様が決めること・用意するもの

家を建てようと思ったとき、最初に「何から始めればいいのか」「いま自分はどのあたりにいるのか」がわからなくなる方は多いと思います。調べるほど情報が増えて、かえって全体が見えにくくなることもあります。

全体が見えないと不安になるのは、とても自然なことです。家づくりは多くの方にとって初めての経験で、しかも決めることが途中から一気に増えていきます。道のりの長さがわからないまま歩くのは、誰にとっても疲れるものです。

この記事では、住宅の記事制作に携わる私が、家づくりの一般的な流れを「お施主様の側から」一枚に整理します。細かな順番や呼び方は地域や計画によって前後しますが、大きな地図として手元に置いていただければと思います。

  • 家づくりは大きく「準備と資金計画」「土地と依頼先選び」「契約と詳細打ち合わせ」「工事」「引き渡しと入居」に分けられます。
  • 最初の分岐は土地があるかどうかで、土地なしの場合は土地探しと依頼先選びを並行して進めるのが一般的です。
  • 住宅ローンは事前審査・本審査・実行と、流れの途中に何度か関わってきます。
目次

家づくりの流れを、まず一枚で見る

一般的な流れを、段階ごとに並べるとこうなります。

段階お施主様が主に決めること用意するもの・やること
1. 準備・情報収集暮らしの希望、予算の上限感家計の整理、家族での話し合い
2. 資金計画・ローン事前審査借入の目安、自己資金の額本人確認書類、収入を確認できる書類など
3. 土地探し(土地なしの場合)エリア、土地の条件候補地の情報、現地の確認
4. 依頼先選び・プラン検討依頼先、間取りの方向性要望の整理、敷地の資料
5. 契約契約内容、概算の範囲契約に必要な書類、手付金など
6. 詳細打ち合わせ仕様、設備、色、コンセント位置など優先順位のメモ
7. 建築確認・ローン本審査最終的な図面と金額本審査の書類、確認申請の手続き(多くは依頼先が代行)
8. 着工〜上棟〜完成現場での確認事項近隣へのあいさつ、現場見学の予定
9. 完成・引き渡し手直しの確認、残金の決済立ち会い、登記・ローン実行の手続き
10. 入居引っ越しの段取り住所変更、ライフラインの手続き

表にすると整然として見えますが、実際には2〜4が行ったり来たりすることも多いです。順番どおりに進まなくても、それは失敗ではありません。

土地あり・土地なしで変わる最初の分岐

家づくりの流れは、最初に「土地があるかどうか」で分かれます。

土地がある場合(親族の土地、住み替えなど)は、その敷地に何が建てられるかを確認するところから始まります。法規上の制限、地盤、道路との関係、上下水道の引き込み状況などで、建てられる大きさやかかる費用が変わるためです。

土地がない場合は、土地探しと依頼先選びを並行して進めるのが一般的です。土地だけ先に決めると、希望の間取りが入らない、想定外の造成費がかかる、ということが起こりえます。候補地が見つかったら、建物の計画と合わせて「この土地で希望が叶うか」を見てもらう流れが一般的です。

土地なしの場合に決めること、用意するものを箇条書きにすると、次のようになります。

  • 決めること:通勤・通学の範囲、周辺環境で譲れない点、土地と建物の予算配分
  • 用意するもの:希望エリアの優先順位、候補地ごとの気になった点のメモ
  • 確認したいこと:土地代以外にかかる費用(造成、給排水の引き込みなど)の見込み

ここで出てくる付帯工事とは、建物本体以外に必要になる工事のことで、外構、給排水の引き込み、地盤改良などが含まれます。見積もりの中でどこまでが本体で、どこからが付帯工事なのかは、早い段階で確認しておくと安心です。

住宅ローンは、流れのどこに置くか

住宅ローンは、最後にまとめて考えるものではなく、流れの途中に何度か顔を出します。一般的には次の三つの場面があります。

事前審査は、借入ができそうかを金融機関にあらかじめ見てもらう手続きです。土地の購入申し込みや建物の契約の前後で行うことが多く、「この予算で進めて大丈夫か」の土台になります。

本審査は、建物の図面や金額、土地の情報などが固まってから行う正式な審査です。事前審査が通っていても、本審査で条件が変わることはありえます。

つなぎ融資は、住宅ローンが実行される前に、土地代や着工金などの支払いが必要になる場合に使われる、一時的な借入のことです。住宅ローンは建物の完成・引き渡し時に実行されるのが一般的なため、それ以前の支払いをどう手当てするかが課題になります。つなぎ融資を使うか、自己資金で対応するか、分割実行に対応したローンを選ぶかなど、方法はいくつかあります。

住宅金融支援機構の【フラット35】でも、注文住宅の場合の手続きとして、借入れの申し込みと審査から、設計・現場の検査を経て、竣工後の契約・資金の受け取りまでの流れが段階ごとに示されています。どの段階でどの書類が必要かは金融機関によって異なるため、早めに一覧をもらっておくと慌てずに済みます。

契約から着工まで、決めることが一番多い時期

契約後の詳細打ち合わせは、家づくりの中でもっとも決めることが多い時期です。間取りの微調整から、床材、壁紙、照明、コンセントの位置、収納の中の棚まで、選ぶものが次々に出てきます。

この時期に「打ち合わせが終わらない」と感じる方は少なくありません。回数や時間が増えていく理由については、打ち合わせが長いと感じたときにでも整理しています。また、選択肢が多すぎて手が止まってしまうときは、決められないときの考え方も参考になるかもしれません。

打ち合わせと並行して、建築確認の手続きが進みます。建築確認とは、建てる建物が建築基準法などに適合しているかを、着工前に審査してもらう手続きのことです。多くの場合、依頼先が申請を代行しますが、確認が下りた図面が「この家の正式な設計図」になります。これ以降の変更は手続きや費用に影響することがあるため、確定のタイミングは意識しておきたいところです。

この時期にお施主様が用意しておくと進めやすいものは、次のとおりです。

  • 家族それぞれの「譲れないこと」と「任せてよいこと」のメモ
  • 気に入った写真や参考例(言葉で伝えにくい部分を補えます)
  • 予算の中で優先したい項目の順位

着工から引き渡し・入居まで

工事が始まると、お施主様が決めることは少しずつ減っていきます。その代わりに「確認すること」が増えます。

上棟とは、柱や梁などの骨組みが組み上がり、屋根の一番高い部分の部材が取り付けられる節目のことです。建物の形が一気に見えるようになり、実感がわく時期でもあります。上棟後は、コンセントやスイッチの位置を現場で確認する機会が設けられることもあります。

完成が近づくと、仕上がりを確認する立ち会いがあります。傷や不具合がないか、図面どおりかを見て、気になる点があれば手直しを依頼します。

引き渡しとは、完成した建物の鍵や書類を受け取り、正式にお施主様のものになる手続きのことです。多くの場合、このタイミングで住宅ローンの実行、残金の決済、建物の登記が行われます。

引き渡し後の入居までには、次のような手続きが残っています。

  • 引っ越しの手配、不用品の整理
  • 電気・ガス・水道・インターネットの開通手続き
  • 住所変更(役所、金融機関、勤務先など)
  • 家具・家電の搬入の段取り

家づくりの後半は、仕事や日常と並行して手続きが重なるため、気づけば疲れがたまっていることもあります。そんなときは、家づくりに疲れたときにも読んでみてください。

よくある質問

Q. 家づくりは、何から始めればいいですか?

暮らしの希望と予算の上限感を整理し、家計の整理や家族での話し合いをするところから始まるのが一般的です。そのうえで資金計画と住宅ローンの事前審査に進みます。

Q. 住宅ローンの事前審査と本審査は、どう違いますか?

事前審査は借入ができそうかをあらかじめ見てもらう手続きで、本審査は建物の図面や金額、土地の情報などが固まってから行う正式な審査です。事前審査が通っていても、本審査で条件が変わることはありえます。

Q. 流れが順番どおりに進まないのは、問題ですか?

失敗ではありません。準備・資金計画から依頼先選びまでの段階は行ったり来たりすることも多く、期間や順番は計画によって幅があります。

まとめ

家づくりの流れは、大きく「準備と資金計画」「土地と依頼先選び」「契約と詳細打ち合わせ」「工事」「引き渡しと入居」に分けられます。土地があるかないかで最初の動き方が変わり、住宅ローンは事前審査・本審査・実行と、流れの途中に何度か関わってきます。

期間や順番は計画によって幅があり、行ったり来たりすることも珍しくありません。いま自分がどの段階にいるのかがわかるだけでも、次に何を決めればいいかが見えやすくなります。この一枚を、迷ったときの地図として使っていただければうれしいです。

流れの中で判断に迷ったときは、依頼先だけでなく、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーや、自治体・公的機関の住宅相談窓口など、利害関係のない第三者に話を聞いてみるのもひとつの方法です。自分の状況を外から見てもらうことで、気持ちが整理されることもあります。

参考

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次