家づくりで夫婦の意見が合わないとき、先に決めるべき1つのこと

窓辺に木製の椅子が二脚並ぶ、静かな住まいの室内イメージ

家づくりを進めるなかで、夫婦の意見が合わずに困っている。そう感じているなら、まず知っておいていただきたいことがあります。それは、意見が合わないこと自体は、家づくりの途中でよく起こる、ごく自然な状態だということです。

家づくりの途中で、ご夫婦の意見が食い違って戸惑うのは、とてもよくあることです。間取りの希望が違う、収納の量に対する感覚が違う、お金をかけたい場所が違う。どちらかが間違っているわけではなく、それぞれが大事にしているものが違うだけなのに、話し合いを重ねるうちに「なぜ分かってもらえないのか」という気持ちが強くなっていく。そういう場面です。

ここでは、意見が合わない状態をどう解消するかという話の前に、対立の中身を見分ける方法についてお伝えしたいと思います。私は家を建てた側でも、売る側でもない、第三者としてこの文章を書いています。

目次

対立の中身は、たいてい「優先順位の違い」

夫婦で意見が合わないとき、多くの場合その中身は「好みの違い」よりも「優先順位の違い」です。

たとえば、一方は「リビングを広くしたい」、もう一方は「収納を増やしたい」と希望しているとします。これは一見すると好みの対立に見えますが、実際には「家で過ごす時間の心地よさを優先したいのか」「散らからない暮らしやすさを優先したいのか」という、優先順位の違いであることがほとんどです。

この違いを見分けずに「リビングか収納か」という表面的な選択のまま話し合いを続けると、どちらかが譲る形でしか決着しません。譲った側には「自分の希望が通らなかった」という気持ちが残り、それが後々まで尾を引くことがあります。対立が長引くときの多くは、表面的な選択肢の応酬になっていて、その奥にある優先順位まで話が届いていないことにあるように思います。

先に「この家で何を一番守りたいか」を、各自1つ書く

優先順位のずれを見つけるために効果的なのは、打ち合わせの場ではなく、その前の段階で、それぞれが「この家で何を一番守りたいか」を1つだけ書き出しておくことです。

ここでのポイントは「1つだけ」に絞ることです。希望を並べていくと、どうしても項目が増え、結局すべてが同じ重さに見えてしまいます。1つに絞る作業そのものが、自分の中で何が一番大事なのかを整理する時間になります。

書く内容は、間取りや設備のような具体的な希望でなくてもかまいません。「家族が自然と顔を合わせる時間を増やしたい」「片づけに追われない暮らしがしたい」といった、暮らし方に関する言葉でも十分です。むしろ、具体的な設備よりも、こうした暮らし方の軸のほうが、後の判断がぶれにくくなります。

それぞれが書いたものを見せ合うと、多くの場合、実はそれほど遠くない場所を見ていたことに気づきます。「リビングを広くしたい」と「収納を増やしたい」も、根っこをたどれば「家族が心地よく過ごせる家にしたい」という同じ願いから出ていることがあります。その共通の軸が見つかれば、具体的な選択は共通の軸に沿って判断していけばよく、対立ではなく調整の話になります。

担当者の前で揉めないための工夫

打ち合わせの場で意見の違いが表面化し、担当者の前で言い合いになってしまったという声も少なくありません。担当者の前で揉めること自体が悪いわけではありませんが、多くの方が「恥ずかしかった」「冷静に話せなかった」と振り返っています。

これを避けるための工夫として有効なのは、打ち合わせの前に、意見が分かれそうな項目をあらかじめ2人で話しておくことです。すべてを決めておく必要はなく、「ここは意見が違うかもしれない」という項目を洗い出しておくだけでも、打ち合わせの場で不意を突かれることが減ります。

また、打ち合わせの最中に意見が対立してしまったときは、その場で結論を出そうとせず、「一度持ち帰って話します」と伝えるのも一つの方法です。担当者の前で無理に折り合いをつけようとすると、どちらかが本意でない譲歩をしてしまいがちです。持ち帰って、書き出した「守りたいもの」に立ち返って話す時間を持つほうが、納得のいく結論に近づきやすくなります。

第三者を挟むという選択肢

それでも話し合いが平行線をたどることはあります。当事者同士だと、相手の言葉の裏にある気持ちまで読み取る余裕がなくなり、言い方そのものに反応してしまうこともあるからです。

そうしたときは、担当者以外の第三者に間に入ってもらうという選択肢もあります。利害関係のない立場から話を聞いてもらうことで、それぞれが何を優先したいのかが整理され、当事者同士では見えにくかった共通点が見つかることがあります。

まとめ

夫婦で家づくりの意見が合わないのは、性格が合わないからではなく、優先順位が言葉にされていないことがほとんどです。打ち合わせの前に「この家で何を一番守りたいか」を各自1つ書き出し、意見が分かれそうな項目をあらかじめ話しておくことで、担当者の前で揉めることも減らせます。

それでも話し合いが進まないと感じるときは、住宅会社の担当者以外の、第三者に相談するという選択肢もあります。利害関係のない立場から話を聞いてもらうことで、それぞれの優先順位がどこにあるのかが見えてくることもあります。

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